


部屋の数より、広さを選ぶ
休日は家でゆっくり過ごすことが多いというオーナー様。
最初に挙げられたのは部屋の数ではありませんでした。
LDKの開放感と、視線の抜け。ホテルのような非日常感。
仕切ると狭く感じるから、広さを優先したい。その考えが、この住まいの出発点です。

旗竿地で、変形地。その形を、設計の手がかりに
敷地は、道路から奥まった旗竿地。形は整った四角形ではなく、いくつもの辺を持つ変形地で、広さは約27坪です。
周囲には2階建ての住宅が建ち、南側から十分な日射を得ることも難しい。一般には、設計が難しいとされる条件です。
けれど建築家が手がかりにしたのは、その敷地の形そのものでした。
視線の抜ける方向を見きわめ、建物の南面をまっすぐに据えて南側に空地を残し、北面は斜めにして、敷地を無駄なく使いきる。
四角形にこだわらない建物の輪郭は、この土地だからこそ生まれた形です。
光を得やすい2階をLDKにしたのも、同じ読み解きから。コンパクトだからこそ、敷地の形を余さず活かしきる住まいになりました。

仕切らない2階に、居場所がいくつもある
約26帖の2階フロアは、ほぼ一室。構造上必要な柱と壁だけで、リビング、ダイニング、ワークスペース、ベッドスペースをゆるやかに分けています。主寝室はつくらず、眠る場所もLDKの延長に。ホテルの客室のように、くつろぐ場所と眠る場所がひとつの空間にあります。
リビングには高さ約40cmの造作カウンターがL型にまわり、腰掛ける場所にも、物をしまう場所にもなります。扉の中に収めることで、表に出る物を減らす。家で過ごす時間そのものを愉しむための2階です。

帰宅からの数分を、設計する
1階は、暮らしを支える機能を集めた階です。帰宅したら、まずシャワーを浴びたい。そんな毎日の習慣に合わせて、玄関からファミリークローゼットを通り、脱衣室、浴室へと向かえる動線をつくりました。
洗面とトイレを中心に、ぐるりと回れる間取り。動線は短く、迷いがありません。洋室は、将来、2部屋に分けられるよう備えています。

図面ではわからないことを、暮らす人の言葉で
2026年7月にお引渡しし、いまオーナー様が実際に暮らしている住まいです。仕切らない空間の広がり、この季節の、室内の心地よさ、動線の使い勝手。図面や性能の数字だけでは伝わりにくいことを、住まい手ご本人の言葉とともにお確かめいただけます。
当日は、この住まいを設計した建築家も同席します。旗竿地で変形地という土地の見極め方を、設計した本人から直接お聞きいただけます。変形地や旗竿地、狭小地での家づくりをお考えの方にも、ヒントの多い住まいです。
ご自身のこれからの暮らしに重ねながら、ゆっくりご覧ください。
DETAILS
- 所在地:神奈川県綾瀬市
- 敷地面積:27.41坪(90.62㎡)
- 延床面積:26.01坪(86.01㎡)
- Ua値(外皮平均熱貫流率):0.45W/m²K
- C値(相当隙間面積):0.15cm²/m²(2026年4月測定)
- 冷房期間のμAC値:1.7W/m²/W/m²
- 暖房期間のμAH値:1.8W/m²/W/m²
- 木造2階建て・第一種換気システム・1階床下エアコン・長期優良住宅
見どころ
❶ 帰宅後すぐ浴室へ向かえる裏動線 |
玄関は2方向に上がれるつくり。ホールを通る動線とは別に、ファミリークローゼットを抜けて脱衣室・浴室へ直行できます。帰ってすぐシャワーを浴びたい、という毎日の習慣から生まれた動線です。
❷ 洗面とトイレを囲む回遊動線 |
洗面とトイレを中心に据え、そのまわりに浴室や収納を配置。コンパクトな平面だからこそ、ぐるりと回れる短い動線が成り立っています。
❸ 将来2部屋に分けられる洋室 |
いまは広い一室として使い、必要になったときに壁を立てて2部屋に。あらかじめ天井に下地を入れ、暮らしの変化に備えています。
❹ 仕切らない2階のLDK |
約26帖の2階フロアを、ほぼ一室として使うワンルームの構成。構造上必要な柱と壁だけで、居場所をゆるやかに分けています。
❺ LDKとつながるベッドスペース |
主寝室をつくらず、眠る場所をLDKの延長に。ヘッドボードには間接照明を仕込み、必要なときはカーテンで仕切ることもできます。
❻ ミストアイボリーの外観 |
横張りのガルバリウム鋼板に、玄関まわりの塗り仕上げをアクセントにした外観。片流れの屋根が、すっきりとした輪郭をつくります。
❼ 変形地から導いた建物の輪郭 |
北面を斜めにした多角形の平面は、変形地の形を読み解いた結果。四角い建物を置くより、敷地を無駄なく使いきることができます。
❽旗竿地のアプローチ |
道路に面した駐車スペースから、奥の玄関へと進むアプローチ。旗竿地ならではの奥行きが、通りから一歩離れた落ち着きをつくります。